特集 2025年問題を乗り越える! 健康長寿社会に向けた疾患予防と治療戦略
老化研究の最前線
脳神経細胞の加齢変化と老化・寿命制御における役割
佐藤 亜希子
1
1東北大学加齢医学研究所脳科学研究部門統合生理学研究分野
キーワード:
神経細胞(ニューロン)
,
長命細胞
,
老化
,
神経新生
,
視床下部
Keyword:
神経細胞(ニューロン)
,
長命細胞
,
老化
,
神経新生
,
視床下部
pp.1016-1020
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000910
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Headline
・ニューロンは,発生期に分化増殖し,その後,分裂することなく生存する長命細胞の1つである.
・老化に伴い,ニューロンでは様々な形態変化(樹状突起の分岐,スパインの密度,脂肪滴)や分子レベルの変化(p16INK4a発現,SA-β-gal陽性,DNA損傷,テロメア損耗,エピゲノム変化,オートファジー障害)が認められ,これらがニューロンの機能低下につながる.
・哺乳類の個体寿命制御において重要な役割を担う神経細胞群や脳領域が同定されている.
・脳ニューロンの寿命は必ずしもドナー寿命と相関はしない.そのため,個体寿命に関係なく,老化過程でニューロンの機能を保つことができれば脳機能の維持につながることが期待される.
・老化細胞が神経変性疾患の発症・進展に関与していることが示されているが,細胞種の特定など課題が残っている.
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