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第5土曜特集 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
病態
脳の免疫細胞ミクログリア
-――うつ病の鍵を握る隠れた存在?
Microglia, the brain’s immune cells
――A hidden key player in depression?
古賀 農人
1
Minori KOGA
1
1防衛医科大学校医学教育部医学科精神科学講座
キーワード:
シナプス刈り込み
,
神経新生
,
神経炎症仮説
Keyword:
シナプス刈り込み
,
神経新生
,
神経炎症仮説
pp.1065-1070
発行日 2025年3月29日
Published Date 2025/3/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292131065
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うつ病の病態形成においては神経炎症仮説が広く支持されており,脳内免疫系の異常が注目されているが,その詳細な機序はいまだ解明されていない.これまでの研究では,脳内マクロファージとして知られるミクログリアが産生する炎症性メディエータの変動解析や,それらを標的とした治療法の開発が中心となっており,古典的な “炎症” の観点からの理解にとどまっている.しかし近年,ミクログリアは炎症応答にとどまらず,神経新生,シナプス構築および除去,神経回路の維持など,脳特異的な多様な生理機能を担うことが明らかになってきた.これらの非炎症性機能がうつ病の病態形成にどのように寄与しているかについては十分に解明されていないものの,新たな治療標的としての可能性を秘めている.本稿では,ミクログリアの多面的な機能に焦点を当て,うつ病の病態形成における役割を考察するとともに,新規治療法開発への展望を論じる.

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