❶組織的な手荒れ対策と手指衛生遵守率向上の取り組み

標準予防策の中でも手指衛生は最も基本的かつ有効な感染対策であるにも関わらず，手荒れのために適切に行わない職員がしばしば見受けられる。多くの医療機関では，手荒れ対策が感染対策チームに委ねられ，対応に苦慮している現状が散見される中，中通総合病院（当院）では，インフェクションコントロールドクター（ICD）で感染対策チームのメンバーである小児科医師（筆者）が成人も含めたアトピー性皮膚炎での治療経験をもとに，職員の手荒れに特化した「手荒れアトピー外来」（以下手荒れ外来）を2014年に開設し，積極的な手荒れ治療と予防を推進している。ここでは，これまで行ってきた具体的な手荒れ対策の治療経験と，新たな選択肢として72%アルコール手指消毒薬刺激性評価結果について概説する。