Special feature 実践力を強化 標準予防策のトレンド
■Detailed 各論でみる標準予防策のトレンド―最新知見と実践テクニック
❷手指衛生
林 三千雄
1
1一般財団法人住友病院 感染制御部 主任部長
pp.15-22
発行日 2021年1月25日
Published Date 2021/1/25
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000202
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1843年,ホームズは「医師の手が感染源となっている」と主張した。1847年,ゼンメルワイスは,医師の手指消毒によって妊産婦の死亡率が減少することを示した。にもかかわらず,手指消毒は医療の現場で普及することはなかった。手指衛生の必要性が本格的に認識されるようになるのは1960年代に入ってからである。1962年,米国国立公衆衛生研究所が支援した前向き対照臨床試験において,手指衛生を行うグループは,手指衛生を行わないグループと比べて,乳児の黄色ブドウ球菌検出が少ないことが示された。1970~1980年代にかけて『院内感染予防のための手指衛生訓練(CDC,1975年)』,『手洗いと病院環境制御のためのガイドライン(CDC,1985年)』,『局所消毒薬使用のためのガイドライン(APIC,1988年)』と,手指衛生に関する指針が相次いで発表された。当時は石けんと流水による手洗い(hand washing)が主であり,消毒薬による手指衛生は,緊急時や流し台が利用できない場合に限られていた。
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