Special feature 知識を整理する手指衛生最新版
■手指衛生の教育法❷VRを用いた手指衛生教育
内海 桃絵
1
1京都府立医科大学大学院保健看護学研究科基盤実践保健看護学分野 教授
pp.121-125
発行日 2025年4月15日
Published Date 2025/4/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000545
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手指衛生は医療関連感染(HAI:healthcare-associated infection)を防ぐための基本的かつ最も効果的な手段とされている。WHO(世界保健機関)が推奨する「5つのタイミング」に従い,適切なタイミングで手指衛生を行うことで,感染リスクを低減させることができる。しかし,医療従事者の手指衛生遵守率の低さが問題となっており,より効果的な教育手法の開発が求められている。近年,従来の座学や実技指導に加え,ICTを活用した教育が進んでいる。VR(仮想現実)技術は,没入感の高い学習環境を提供し,従来の教育手法では難しかった体験型学習を可能にする。手指衛生教育の主な対象である医療系学生や新人職員は,デジタルネイティブのZ世代であり,幼少期からICTを活用した学習に親しみ,アクティブラーニングや体験型学習への適性が高い。VRの没入感とインタラクティブ(双方向)性は,Z世代の学習スタイルに最適であり,これからの手指衛生教育における強力なツールとなる可能性がある。本稿では,手指衛生教育におけるVRの活用状況と課題,そして今後の展望について概説する。

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