Special feature 国内・海外のガイドラインから読み解く 手術部位感染(SSI)対策の正解
■Perioperative SSI対策における周術期管理の最新エビデンス
❶耐性菌対策の考え方
-―保菌対策と伝播予防策
小美野 勝
1
1社会福祉法人恩賜財団済生会支部 埼玉済生会栗橋病院 院内感染対策室 看護課長 感染管理認定看護師
pp.280-286
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000074
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はじめに
医療関連感染(Healthcare-Associated Infection:HAI)を予防するうえで耐性菌対策は重要な課題となっており,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus:MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(Vancomycin-Resistant Enterococci:VRE)の感染によって,死亡率の増大や入院期間の延長,医療費の増加などが発生し,感染制御に重要な影響を与えている1)。手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)においても同様で,耐性菌によるSSIの発症は重篤化や治療の難渋化が予想される。またそれだけでなく,SSI発症患者には創部の洗浄やドレナージ管理などの術後処置が頻繁に行われることになるため,多くの医療従事者の介入が必要になる。それらの処置やケア,医療従事者を介した院内伝播のリスクが高くなることからも,SSI対策において保菌者対策と伝播予防策を適切に実践することが重要である。
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