Special feature 正しい選択と手順による 病院清掃のための『拭き消毒』
■Pathogen 病原体の特徴・性質に合わせた『拭き消毒』の考え方
❶耐性菌(AMR)対策における『拭き消毒』
笹原 鉄平
1
1自治医科大学 医学部 感染免疫学講座 講師
pp.36-40
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000097
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多剤耐性菌だからと言って特別なことはない?
昨今,多くの医療施設の感染対策管理者を悩ませているのが多剤耐性菌である。特にカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)・多剤耐性アシネトバクター(MDRA)・多剤耐性緑膿菌(MDRP)を含む多剤耐性グラム陰性菌は,治療に使用できる抗菌薬も限られているため,「付けない・拡げない」対策が非常に重要となる。これらの多剤耐性菌で汚染された可能性のある環境表面は,どのように管理したら良いのだろうか。多剤耐性菌が検出された患者の病室では,特別な消毒・清掃が必要なのだろうか。現在のところ,多くの専門家のコンセンサスは「多剤耐性菌保有患者エリアの日常清掃では,一般の患者周囲環境と同様に,洗浄剤または消毒薬を用いた清拭清掃が推奨される」であろう1,2)。清拭消毒の詳細については他稿に譲り,本稿では多剤耐性菌の拭き消毒に関する最近の知見を確認しながら,筆者が多剤耐性菌保有患者の環境清掃・消毒において,運用上注意すべきと感じている点についてまとめてみたい。
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