支援機器の現在と未来-普及に向けた取り組み
2.屋内外の移動を支えるロボティクス:リビングラボにおける評価と共創的実装
加藤 健治
1
1国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 健康長寿支援ロボットセンター
キーワード:
ロボティクス
,
移動支援
,
リビングラボ
,
マーカーレスモーションキャプチャ
Keyword:
ロボティクス
,
移動支援
,
リビングラボ
,
マーカーレスモーションキャプチャ
pp.1070-1075
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034101070
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はじめに
少子高齢化の進展と生産年齢人口の減少という社会課題は,わが国を含め世界的に深刻化しており,高齢者の自立支援と介護負担の軽減は重要な政策課題となっている.特に移動機能の低下は,高齢者のQOL(quality of life)低下や社会的孤立,転倒・骨折といった健康障害のリスク増大と直結するため,移動支援は極めて重要なリハビリテーション領域の1つである.こうした背景のもと,移動支援を目的としたロボット技術の開発・評価・生活実装が注目を集めている.
近年,人工知能(AI)の急速な進化に伴い,ロボット技術もハードウェアのみならずソフトウェアの高度化が進んでいる.生成AIを活用した行動予測や個別適応アルゴリズム,環境認識・意思決定システムの進展により,より「知能化」されたロボットの性能向上が続いている.これにより,高齢者の身体機能だけでなく,認知機能,健康管理,社会的交流や心理的安定等,多面的な支援が可能となり,1人ひとりの状態や生活環境に合わせた個別最適なサービス提供が現実的になりつつある.
本稿では,筆者らが参画するリビングラボにおける高齢者移動支援ロボットの開発・実証研究の経験も踏まえつつ,移動支援ロボット技術の最新動向を概観し,現状の課題と今後の展望について論じたい.

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