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はじめに
近年,リハビリテーション医療の役割は急性期から生活期に至るまで多様化し,その中で療法士の関与範囲も拡大している.とりわけ急性期病棟や回復期リハビリテーション病棟では,患者の全身状態が不安定なまま介入する機会も年々多くなっており,リハビリテーション中に急変が生じる場面に遭遇する可能性も高くなると推察される.したがって,療法士は日々の臨床において,リハビリテーションの効果と安全性のバランスを維持しつつ,急変対応能力を身につけることが強く求められている.
急性期のリハビリテーションにおいて,早期離床リハビリテーション加算や急性期リハビリテーション加算等,早期リハビリテーション介入への加算が認められ,より一層発症直後からの介入を求められている.また,重症系ユニットの体制充実と共に,特定治療室管理料以外の脳卒中ケアユニット(以下,SCU)やハイケアユニット(以下,HCU)等でも急性期リハビリテーションの現場においてカテーテル留置,酸素投与,人工呼吸器装着等が行われ,生化学データでも炎症反応高値や電解質異常等,全身状態が不安定な中で,治療の一環としてリハビリテーションが開始となる.これまで多くの施設において重症系ユニットへの介入は,十分な研修や期間を急性期に従事した療法士が中心となり対応していたが,急性期リハビリテーション加算の導入よって,療法士の誰しもが全身状態が不安定な患者へのリハビリテーション介入を実施する必要がある.こういった背景から,カルテを十分に読み込み,準備や安静度を医師に確認し,安全面を十分に配慮するよう教育しても予期せぬ患者状態の急変に直面する機会が増える可能性がある.そこで,本稿では療法士が準備しておくべき「急性期でのリハビリテーション中に急変が起きた際の行動や基準」について,当院で研修している内容を中心に解説する.

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