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はじめに
回復期リハビリテーション病棟の対象疾患患者はさまざまな障害から日常生活動作(ADL)に介助を要していることが多い.回復期リハビリテーション病棟では,多職種による質の高いリハビリテーションを提供し, ADLの能力を向上させることが求められる.そのため, 診療においてADLの客観的な評価は治療の効果判定として重要であり,その評価方法の1つに機能的自立度評価法(Functional Independence Measure;FIM)が用いられている.FIMは「しているADL」を評価対象とし,介助量の測定を目的としている.運動項目13項目, 認知項目5項目の全18項目で構成され, 介助の度合いに応じて7段階で評価するものである(表).回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準の項目の1つに実績指数が設けられている.回復期リハビリテーション病棟のアウトカム指標として2016年度から導入されたものであり,その計算式に入退院時のFIM点数を使用するため,FIMの点数採点には正確な評価が求められる.FIMは信頼性と妥当性が検証されている評価法であるが,7段階の評価からなる点で採点方法に慣れるまでに学習と経験が必要と考える.「2023年度回復期リハビリテーション病棟実態調査」によれば,入院料算定基準にFIM総得点を用いている病院は46.9%で以前に比べて増加傾向にあるが,修了証が発行されるFIM講習会を受講した職員の実人数が0〜2人である割合は43.3%と報告されている.FIMを採点する職員の質の向上が求められる流れから,令和6年度の診療報酬改定では,回復期リハビリテーション病棟入院料1または3を届け出る医療機関においては,FIM測定にかかわる職員を対象として,FIMの測定に関する研修会を年1回以上開催することが要件に加わった.これから院内研修を導入される医療機関も増えることと思われるが,今回済生会東神奈川リハビリテーション病院(以下,当院)での取り組みについて紹介させていただく機会を得たのでご参考となる点があれば幸いである.

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