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特集 痙縮治療最前線
第2章 併用療法
ボツリヌス療法を用いた痙縮治療の戦略と併用療法
Strategies for Treating Spasticity Using Botulinum Therapy and Combination Therapy
原 貴敏
1
Takatoshi Hara
1
1国立精神神経医療研究センター病院身体リハビリテーション部,東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
キーワード:
ボツリヌス療法
,
痙縮
,
リハビリテーション治療
,
線維化
,
機能再建
Keyword:
ボツリヌス療法
,
痙縮
,
リハビリテーション治療
,
線維化
,
機能再建
pp.1292-1302
発行日 2024年11月25日
Published Date 2024/11/25
DOI https://doi.org/10.32118/cr033131292
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内容のポイント Q&A
Q1 痙縮に対するボツリヌス療法の適切な頻度や投与量は?
ボツリヌス療法は用量依存性に効果を発揮し,ボツリヌス療法の効果が消退してきた約12週以降で再投与の可能性を身体機能評価から検討する.頻回投与は安全性と有効性が示されている.上肢においてMASの1点以上の減少を期待できる用量が報告されている.下肢において,明確ではないが内反尖足に対する腓腹筋,ヒラメ筋,後脛骨筋に対する施注はエビデンスが高い.
Q2 発現部位や重症度を考慮したボツリヌス療法の適応は?
上肢痙縮においては,中枢部からの改善が機能向上に寄与すると考えられるため,近位筋の施注をベースに用量配分を検討し,リハビリテーション治療との併用による治療戦略を検討する.下肢痙縮においては,内反尖足に対するエビデンスは確固たるものであり,リハビリテーション治療を併用することで,歩行能力の改善を目標とする.またstiff-knee gait等,一部の特徴的な歩行パターンに対しては下肢近位筋への施注も考慮される.
Q3 発現部位や重症度を考慮した併用療法の戦略は?
身体機能評価の重要度と筋肉の性状を考慮した治療戦略は有効である,具体的には重度の機能障害に対しては,線維化が高度である患者が認められるため線維化に対するリハビリテーション治療の併用に比重を置いた戦略が有効である.一方で中等度の機能障害に対しては,ニューロリハビリテーション等の併用が有効である.軽度の機能障害に対しては,必ずしも集中的リハビリテーションは必要とせず,機能維持を目的としたプログラムが有効である.
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