Japanese
English
特集 痙縮治療最前線
第2章 併用療法
薬物療法,神経ブロック療法との併用療法
Combination treatment with medications and nerve block for the spasticity
伊藤 英明
1
,
松嶋 康之
1
,
佐伯 覚
1
Hideaki Ito
1
,
Yasuyuki Matsushima
1
,
Satoru Saeki
1
1産業医科大学リハビリテーション医学講座
キーワード:
痙縮
,
薬物療法
,
神経ブロック療法
,
併用療法
,
フェノールブロック
Keyword:
痙縮
,
薬物療法
,
神経ブロック療法
,
併用療法
,
フェノールブロック
pp.1287-1291
発行日 2024年11月25日
Published Date 2024/11/25
DOI https://doi.org/10.32118/cr033131287
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
内容のポイント Q&A
Q1 痙縮に対する薬物療法,神経ブロック療法にはどのようなものがあるか?
経口の薬物療法としては中枢性筋弛緩薬や末梢性筋弛緩薬が初期治療として選択される.中枢性筋弛緩薬としてはエペリゾン,アフロクアロン,クロルフェネシン,チザニジン,バクロフェンが挙げられ,末梢性筋弛緩薬としてはダントロレンが用いられる.神経ブロック療法は注射によって局所の筋肉の痙縮を一過性に低下させる効果があり,神経破壊薬であるフェノールや神経筋接合部遮断薬であるボツリヌス毒素が用いられる.
Q2 発現部位や重症度を考慮した薬物療法,神経ブロック療法の適応は?
抗痙縮薬は非侵襲的で可逆性であることから投与しやすく全体の痙縮に対して有効である可能性がある.ただし眠気,全身の脱力,めまい,ふらつき等の副作用が出現すると転倒や歩行障害,ADL低下のリスクがあるため注意が必要である.局所で関節屈曲変形が出現する場合にはフェノールブロックやボツリヌス療法等の神経ブロック療法の適応がある.
Q3 発現部位や重症度を考慮した併用療法の戦略は?
痙縮が強く経口の抗痙縮薬では効果が不十分な場合には神経ブロック療法の併用が検討される.特に上肢痙縮では肘関節屈曲,手関節屈曲,手指屈曲,握りこぶし状変形,母指屈曲等が認められる場合や,下肢痙縮では股関節内転や内反尖足槌趾変形等が認められる場合には神経ブロック療法の併用を検討する対象となる.また局所の痛みやつっぱり感,スパズムの軽減にも神経ブロック療法が有用である.
Copyright© 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All rights reserved.