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特集 脊髄障害とニューロモデュレーションNOW
脊髄損傷後の痙縮に対するボツリヌス療法
Botulinum Toxin Therapy for the Spasticity after Spinal Cord Injury
菊地 尚久
1
Naohisa KIKUCHI
1
1千葉県千葉リハビリテーションセンターリハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Chiba Rehabilitation Center
キーワード:
脊髄損傷
,
spinal cord injury
,
痙縮
,
spasticity
,
ボツリヌス療法
,
botulinum toxin therapy
Keyword:
脊髄損傷
,
spinal cord injury
,
痙縮
,
spasticity
,
ボツリヌス療法
,
botulinum toxin therapy
pp.158-164
発行日 2023年5月24日
Published Date 2023/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202043
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はじめに
脊髄損傷では受傷後に痙縮が随伴することが多い.痙縮は上位運動ニューロン症候群による陽性徴候の1つであり,腱反射亢進を伴った緊張性伸張反射の速度依存性増加を特徴としている1).痙縮により,クローヌスや筋のスパズム,姿勢異常,病的共同運動,筋の同時収縮,過剰な筋活動が出現し,さらに筋の短縮,関節可動域制限を生じ,これに伴い疼痛,歩行障害,ADL障害,QOL障害が引き起こされる.
痙縮に対する治療としては,筋弛緩薬などの薬物療法,物理療法,装具療法,フェノールを用いた神経ブロック,腱延長などの整形外科的治療などが従来用いられてきたが,近年ボツリヌス治療やバクロフェン髄注療法などの積極的治療が用いられるようになっている.ボツリヌス治療は神経筋接合部でのアセチルコリン放出を抑制するボツリヌス毒素を筋に直接投与する治療法であり,従来用いられてきた治療法と比較して,直接的な痙縮抑制効果があることから,有効な治療法の1つであるといえる.
本稿ではボツリヌス治療の概略,ボツリヌス治療の評価,適応と効果,特に脊髄損傷後の痙縮に対する効果について概説する.
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