リハビリテーション科医に必要な消化器疾患の知識と近年の進歩
2. 食道がん周術期運動療法の有用性
羽田 綾馬
1
,
境井 勇気
1
,
曽根田 亘
1
,
村上 智洋
1
,
坊岡 英祐
1
,
松本 知拓
1
,
菊池 寛利
1
,
平松 良浩
1,2
,
竹内 裕也
1
1浜松医科大学外科学第二講座
2浜松医科大学周術期等生活機能支援学講座
キーワード:
食道
,
食道がん
,
リハビリテーション
,
術後合併症
Keyword:
食道
,
食道がん
,
リハビリテーション
,
術後合併症
pp.891-894
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033090891
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はじめに
食道は咽頭から胃に至る管状器官で,潤滑のための粘液産生と蠕動を行う臓器である.食物は輪状咽頭筋が弛緩することで食道内に入り,自律・協調的な蠕動運動により移送され,下部食道括約筋が弛緩することで胃内に入る.また,下部食道括約筋や横隔食道靱帯,His角等の逆流防止機構で胃酸や十二指腸液の逆流を防いでいる.食道疾患の症状として嘔気嘔吐や通過障害,嚥下障害等がみられることが多い.
手術療法では,術後迅速な回復の促進ならびに術後合併症予防のため, Enhanced recovery after surgery(ERAS) ®/Fast track surgeryの概念が外科分野に導入され,定着している.そのなかで運動療法は,術前から筋力トレーニング,インセンティブスパイロメトリーによる呼吸器リハビリテーションを行うことで末梢気道閉塞の予防あるいは,吸気容量の増加と吸気能力の改善が効果として期待される.術後も早期離床,呼吸器リハビリテーションを行うことで拡張不全が認められる肺胞の再拡張,無気肺の予防と改善を図る.
本稿では食道疾患における近年の進捗と支持療法としての運動療法の有用性を概説する.
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