連載 EBN実践につなげる! 栄養疫学研究最新トピックス④
「共食」と食事摂取状況の関連
-国民健康・栄養調査の比例案分法を活用して
苑 暁藝
1
Yuan Xiaoyi
1
1国立医薬品・食品衛生研究所 安全情報部
キーワード:
共食
,
国民健康・栄養調査
,
比例案分法
,
食事摂取状況
Keyword:
共食
,
国民健康・栄養調査
,
比例案分法
,
食事摂取状況
pp.602-607
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn146050602
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はじめに
家族などとともに食べる「共食」は,社会心理的健康の向上,家族機能の強化,そしてよりよい食事摂取量など,多くのメリットが報告されている1-3).日本では,第4次食育推進基本計画4)においても「共食」が推奨されている.しかし,これまでの先行研究では,「家族と食事をともにする」という視点から「共食」と食事摂取量との関連が検討されてきたが,いずれも自己申告式の質問票に基づいており,「共食」の評価は対象者の主観に依存していることが課題であった.また,評価される食事内容は一部の食品や栄養素に限られ,食事全体像の把握が十分でないことも問題としてあげられる.
国民健康・栄養調査では,比例案分法を用いた1日の食事記録法が採用されている.この方法は,家族で同じ食品を分けて摂取することを前提として,世帯内で調理を主に担う者が家庭内の全員分の食事内容を記録することで,個人ごとの摂取量を算出することが特徴である.この手法には,①共食の評価において,質問票調査に比べて対象者の主観的な認識に依存せず,より客観的である,②食事全体像をより詳細に把握できる,という2つの大きな利点がある.
本稿では,国民健康・栄養調査における比例案分法を活用して「共食」を評価し,個人の食事摂取状況との関連について検討した結果を報告する.

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