連載 谷口先生と基礎から学び直す 体液・代謝管理⑥
非日常的な水分補給法:輸液療法を理解する
-まずは,世の中でもっとも使われている水・電解質輸液を理解する
谷口 英喜
1
Hideki Taniguchi
1
1済生会横浜市東部病院 患者支援センター/栄養部
pp.910-917
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn145070910
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連載第5回目では,飲水学でいう,いわゆる「非日常的」な水分補給の代表選手である経口補水療法について学びました.これまでの連載で学んだ,モル濃度(mol/L)やメック(mEq/L)などのむずかしくみえる単位でも,実践的な知識として役立つことを実感できたと思います.
その勢いのまま,第6回目からは,非日常的な水分補給の,これもまた代表格である輸液療法を学んでいきます.現在は,“If the gut works, use it.”(腸管が使えるなら腸管を使え)の方針に従って栄養管理が実施されます.しかし,腸管が十分に使えない症例に対しては,輸液による栄養管理が必要です.管理栄養士の皆さんが,輸液療法に苦手意識があるのは当然です.その理由は,系統立って輸液療法を学ぶ機会がなかったからです.安心してください.この連載で,苦手意識を少しでも減らしてみせます.
ポイント
1.水・電解質輸液さえ理解できれば,輸液療法の9割は理解できてしまう.
2.細胞外液補充液は,細胞外液の組成に近い成分で,細胞外液を満たす輸液.
3.血管壁と細胞膜を,何が通過できて,何が通過できないかを理解しておく.
今回は,水・電解質輸液の総論を解説し,そのなかでも臨床現場で汎用されている細胞外液補充液を例に,歴史的背景も学びながら進めたいと思います.そして,次回の連載では,細胞内液補充液,膠質輸液について解説する予定です.
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