連載 デンシエット(カロリー密度)が拓く 食事管理のミライ③〈最終回〉
カロリー密度のデータベース化によるフードテックへの活用
奥村 仙示
1
Hisami Okumura
1
1同志社女子大学 食物栄養科学科
pp.638-643
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn145050638
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はじめに
「和食」は2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された.和食の特徴の一つとして,「健康的な食生活を支える栄養バランス」があげられており,日本人が世界一長寿なことからも,内容が優れていることを疑う余地がない.一方で,日本食の栄養価を数値化・データベース化した報告はいまだ少ない.日本食には日本独特の食品,調理法が存在するため,食事に関する諸外国の報告をそのまま引用できないことが要因である.
昨今では,日本食を評価するJapanese diet index(JDI)スコアによって,食事の妥当性や疾患との関連が検討されている.その項目としては米,みそ汁,海藻,漬物,緑黄色野菜,魚,緑茶,大豆・大豆由来製品,果物,きのこ,コーヒー,赤身肉があげられ,示された最初の10項目について中央値より多く摂取した場合「+1点」,赤身肉は中央値よりも少なく摂取すると「+1点」とされた.コーヒーに関しては,JDI81)では対象外だったのが,JDI92),JDI123)ではマイナス因子,rJDI12ではプラス因子と逆の評価になった4).したがって,項目や評価については,今後も改定されていくことが予測されるため,栄養素を客観的に知るためには,データベース化することが必要と考えた.
本稿では,具体的な日本食のカロリー密度と,カロリー密度に注目したフードテックにおける高齢者食の取り組みについて紹介する.
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