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第1土曜特集 生体システムのレジリエンス――神経–免疫–内分泌連関から探る適応と修復のメカニズム
パーキンソン病における脳–臓器連関
-――脳–腸連関を中心に
Organ-brain axes in Parkinson’s disease
竹重 遥香
1
,
服部 信孝
1
Haruka TAKESHIGE-AMANO
1
,
Nobutaka HATTORI
1
1順天堂大学大学院医学研究科脳神経内科
キーワード:
パーキンソン病(PD)
,
脳–臓器連関
,
腸内細菌叢移植療法(FMT)
Keyword:
パーキンソン病(PD)
,
脳–臓器連関
,
腸内細菌叢移植療法(FMT)
pp.96-100
発行日 2025年10月4日
Published Date 2025/10/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295010096
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パーキンソン病(PD)はα–シヌクレインが異常凝集し,蓄積することで生じる神経変性疾患である.症状の中核である運動症状は主に中脳黒質ドパミン神経細胞の脱落に起因することが知られているが,近年,α–シヌクレインの蓄積は中枢神経にとどまらず全身末梢自律神経にも存在することが注目され,全身病として捉えることが重要といえる.実際に,PDの症状は運動症状にとどまらず多岐にわたり,特に便秘や嗅覚低下といった非運動症状は運動症状に先行して出現することが知られ,発症機序にも関わることが想定されている.現状,PDの治療は対症療法に限られており,その発症や進行を抑制する疾患修飾療法はいまだ存在していない,しかし,発症の起点となる可能性がある全身臓器の変化を解明し,これに介入することで疾患修飾治療が実現する可能性が期待されている.特に筆者らの施設では,PDで異常が指摘されている腸内細菌叢への介入として,腸内細菌叢移植療法(FMT)のランダム化比較試験(RCT)をわが国ではじめて開始しており,本稿ではこれを中心に解説する.

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