Japanese
English
第1土曜特集 パーキンソン病を解剖する――過去,現在,そして未来へ
診断・症状
パーキンソン病の眼球運動
Eye movement disorder in Parkinson’s disease
徳重 真一
1
,
寺尾 安生
2
Shin-ichi TOKUSHIGE
1
,
Yasuo TERAO
2
1杏林大学医学部神経内科
2同病態生理学
キーワード:
パーキンソン病(PD)
,
眼球運動
,
サッカード
Keyword:
パーキンソン病(PD)
,
眼球運動
,
サッカード
pp.852-858
発行日 2021年9月4日
Published Date 2021/9/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27810852
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ヒトが物を見るときにはサッカードとよばれるすばやい眼球運動を繰り返しているが,パーキンソン病(PD)では基底核の障害によって中脳の上丘への過剰な抑制がかかり,サッカードの振幅や速度の低下をきたす.これにより物を注視する際の眼球運動が妨げられ,狭い範囲しか見渡せなくなる.PDの眼球運動障害は単純な図形を見る際のサッカードに対して強く表れる一方,複雑な図形を見る際のサッカードに対しては異常が表れにくい.これは,複雑な図形を見る際のサッカードは図形内の目印によって視線が誘導されるため反射的な眼球運動が主体となり,そこには基底核の関与が小さいということを反映しているものと考えられる.このように,目印の豊富な状況では運動障害が軽くなるという眼球運動障害の特徴は,PDの歩行障害などで知られている矛盾運動(kinésie paradoxale)と類似した現象と捉えることができる.
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