Japanese
English
第1土曜特集 生体システムのレジリエンス――神経–免疫–内分泌連関から探る適応と修復のメカニズム
神経障害性疼痛に対する生体レジリエンス機構
Resilience mechanisms for neuropathic pain
津田 誠
1
Makoto TSUDA
1
1九州大学大学院薬学研究院薬理学分野
キーワード:
神経障害性疼痛
,
脊髄後角
,
ミクログリア
,
アストロサイト
Keyword:
神経障害性疼痛
,
脊髄後角
,
ミクログリア
,
アストロサイト
pp.91-95
発行日 2025年10月4日
Published Date 2025/10/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295010091
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
痛みは身体を保護するための重要な防御機構であるが,神経損傷に伴い,痛覚過敏やアロディニアといった異常な痛みが出現することがある.この神経障害性疼痛の発症には,ミクログリアやアストロサイトなどのグリア細胞による体性感覚神経系の構造・機能的な変容が深く関わることが示されてきた.近年,シングルセル解析などの先端的手法により,各グリア細胞には遺伝子発現プロファイルの異なる複数の亜集団が存在し,病態の進行に伴い,その構成が動的に変化することが示されている.さらに,神経損傷後に出現するCD11c陽性ミクログリアなどのグリア細胞の亜集団が神経障害性疼痛の慢性化を抑制することが発見され,生体に備わるグリア細胞依存的なレジリエンス機構の存在が示唆されている.これらの新たな知見は,慢性疼痛の診断や治療法の開発に向けた重要な基盤となる可能性がある.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.