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連載 細胞を用いた再生医療の現状と今後の展望――臨床への展開・Vol.22
パーキンソン病に対する細胞移植治療
Stem cell-based therapy for Parkinson’s disease
土井 大輔
1
Daisuke DOI
1
1京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門
キーワード:
iPS細胞
,
パーキンソン病(PD)
,
細胞移植治療
,
ドパミン神経細胞
Keyword:
iPS細胞
,
パーキンソン病(PD)
,
細胞移植治療
,
ドパミン神経細胞
pp.1153-1157
発行日 2025年6月21日
Published Date 2025/6/21
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293121153
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SUMMARY
パーキンソン病(PD)は,ドパミン神経細胞が脱落する進行性の神経変性疾患であり,ドパミン神経細胞を補充する目的で細胞移植治療が開発されてきた.胎児中脳細胞を用いた臨床試験では一定の効果が認められたが,二重盲検試験では有意な治療効果は認められなかった.胎児細胞に代わる移植細胞の供給源としてES細胞,iPS細胞などの多能性幹細胞を用いてドパミン神経細胞を分化誘導する方法が開発され,動物モデルにおける安全性や有効性が確かめられた.日本をはじめ各国で細胞移植治療の臨床試験が開始されおり,本邦では2018年以降,7例のPD患者に対するヒトiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞の安全性および有効性を検討する医師主導治験が行われている.臨床試験の結果が待たれると同時に,移植細胞の機能強化や宿主脳の環境を修飾して細胞移植治療の効果を高めるための基礎研究が行われている.

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