Japanese
English
第1土曜特集 パーキンソン病を解剖する――過去,現在,そして未来へ
基礎研究の進展
パーキンソン病の診断バイオマーカー
Diagnostic biomarkers for Parkinson’s disease
徳田 隆彦
1
,
笠井 高士
2
Takahiko TOKUDA
1
,
Takashi KASAI
2
1量子科学技術研究開発機構脳機能イメージング研究部
2京都府立医科大学大学院医学研究科脳神経内科学
キーワード:
バイオマーカー
,
パーキンソン病(PD)
,
α-シヌクレイン(α-syn)
,
神経線維軽鎖(NfL)
,
オミックス解析
Keyword:
バイオマーカー
,
パーキンソン病(PD)
,
α-シヌクレイン(α-syn)
,
神経線維軽鎖(NfL)
,
オミックス解析
pp.875-880
発行日 2021年9月4日
Published Date 2021/9/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27810875
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
パーキンソン病(PD)の客観的な診断バイオマーカーは,日常診療のみならず,今後の疾患修飾療法を実現するうえでも強く求められている.PDの体液バイオマーカーについては,これまでの研究において比較的再現性をもって有用性が検証された分子として,髄液中α-シヌクレイン(α-syn)関連分子種,リソソーム酵素,炎症関連マーカー,アルツハイマー病(AD)関連マーカー,神経線維軽鎖(NfL)があげられる.これらの体液バイオマーカーは,PDの病態発現過程における異なった分子機構を反映するので相互補完的に機能すること,および現時点では,単独でPD診断に用いることができるような高精度のバイオマーカーが存在しないこともあって,組み合わせることでPDの診断における有用性が高まる.また,上記のような病態発現機序に関連する個々の候補分子群に着目する開発研究とは対照的に,近年では特定の組織・体液などに存在するタンパク分子・転写産物・代謝産物を,バイアスを排した網羅的なオミックス解析を行うことによってバイオマーカー候補分子を同定する研究手法も成果を上げつつある.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.