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第1土曜特集 生体システムのレジリエンス――神経–免疫–内分泌連関から探る適応と修復のメカニズム
ゲートウェイ反射による慢性炎症性疾患の病態制御
Control of chronic inflammatory diseases caused by gateway reflection
村上 薫
1
,
田中 宏樹
1
,
村上 正晃
1
Kaoru MURAKAMI
1
,
Hiroki TANAKA
1
,
Masaaki MURAKAMI
1
1北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野
キーワード:
中枢神経系(CNS)
,
ゲートウェイ反射
,
IL-6アンプ
Keyword:
中枢神経系(CNS)
,
ゲートウェイ反射
,
IL-6アンプ
pp.3-13
発行日 2025年10月4日
Published Date 2025/10/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295010003
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中枢神経系(CNS)は,内分泌系,消化器系,免疫系などの末梢組織とそれぞれ神経回路を介して接続しており,脳は末梢からの感覚刺激をさまざまな神経回路から受け取り,神経回路の活性化から生じる神経伝達物質や生理活性物質の末梢組織への放出という形に変換する.また,神経系は免疫系をさまざまな経路から制御する.この神経系の免疫系に対する神経作用は,いずれも特定の神経末端からの神経伝達物質やホルモンの産生を通じて全身性,あるいは特定の臓器に伝わり,その場で生理的作用に変換されることで末梢臓器の機能を調節する.一方,これらよりはるかに限定された領域での神経–免疫応答が存在し,それらが免疫および生理的作用を制御することが判明して,神経シグナル系とよばれる新興の学問領域が成立してきた.その領域のなかで筆者らは近年,さまざまな刺激が免疫系に作用することで,炎症・免疫応答を伴うさまざまな病態が変容することを示し,“ゲートウェイ反射” を発見した.本稿では,まずゲートウェイ反射を解説するにあたっての必須機構である “IL-6アンプ” について解説し,次いで,筆者らが発見した外部からの神経系に対する入力とそれに対する免疫系の応答を取り上げ,ゲートウェイ反射がどのようにして慢性炎症性疾患をはじめとするさまざまな疾患病態を変容させるのかについて概説する.

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