Japanese
English
特集 自律神経と免疫――ここまでわかった神経-免疫相互作用のメカニズム
ゲートウェイ反射による組織特異的な炎症の制御
Control of tissue-specific inflammation by gateway reflex
村上 薫
1
,
内田 萌菜
1
,
村上 正晃
1
Kaoru MURAKAMI
1
,
Mona UCHIDA
1
,
Masaaki MURAKAMI
1
1北海道大学遺伝子病制御研究所,同大学院医学院分子神経免疫学教室
キーワード:
ゲートウェイ反射
,
IL-6アンプ
,
組織特異的炎症性疾患
,
交感神経
,
迷走神経
Keyword:
ゲートウェイ反射
,
IL-6アンプ
,
組織特異的炎症性疾患
,
交感神経
,
迷走神経
pp.1089-1094
発行日 2021年6月26日
Published Date 2021/6/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277131089
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筆者らは,特異的な神経回路の活性化(神経シグナル)が特定の血管で遊走因子であるケモカインを産生し,血中の自己反応性CD4+T細胞を局所に呼び寄せることにより中枢神経系,網膜などの血液関門に免疫細胞の侵入口を作る “ゲートウェイ反射” を2012年に発見した.加えて筆者らは,この免疫細胞の侵入口の形成のための分子メカニズムとして,筆者らが2008年に発表した血管内皮細胞など非免疫細胞でのNF-κB過剰活性化機構である “IL-6アンプ” であることを見出した.IL-6アンプは,血管内皮細胞などで2つの転写因子,NF-κBとSTAT3が同時に活性化すれば過剰のNF-κB活性化が誘導され過剰量のケモカイン,増殖因子,さらにIL-6などが局所的に産生され,免疫細胞の集積から局所の恒常性が乱れ,炎症病態を誘導する.筆者らは,人為的な神経シグナルによるゲートウェイ反射の活性化のオンとオフの制御を可能とするニューロモジュレーション医療が,自己免疫疾患を含む炎症性疾患の人為的制御につながると考えている.
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