連載 イチから学び直す医療統計・第14講
経時測定データの解析手法
十島 玄汰
1
,
長島 健悟
1
,
佐藤 泰憲
2
Genta TOSHIMA
1
,
Kengo NAGASHIMA
1
,
Yasunori SATO
2
1慶應義塾大学病院臨床研究推進センター生物統計部門
2慶應義塾大学医学部生物統計学
キーワード:
経時測定データ
,
時点間相関
,
欠測
,
MMRM
,
GEE
Keyword:
経時測定データ
,
時点間相関
,
欠測
,
MMRM
,
GEE
pp.1262-1270
発行日 2025年9月27日
Published Date 2025/9/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294131262
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経時測定データとは,同一対象から時間の経過に伴って繰り返し測定されたデータである.これは特定の一時点で測定される横断データと異なり,個人内の変化や時間的推移を捉えることができるため,疾患の自然経過や,治療介入による病態の変化などを踏まえた,より詳細な考察や医学的知見を得ることにつながる可能性がある.一方で,同一個人から繰り返しデータを測定するため,同一個人内のデータでは時点間の相関がある可能性があり,解析の際には注意が必要である.また一定期間の追跡を要することから,欠測データが生じる可能性があり,解析をするうえで適切な対処が求められる.
本稿では,経時測定データの特徴を説明したうえで,医学研究において広く用いられている統計手法であるMMRMとGEEを取り上げ,それぞれの理論的背景,適用上の利点,および注意点について解説する.さらに,実際に解析を行う際の留意点のみならず,論文などを読む際の評価の視点についても触れ,経時測定データの解析手法への包括的理解を促すことを目的とする.

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