連載 イチから学び直す医療統計・第5講
臨床試験のデザイン
長島 健悟
1
,
浮田 翔子
1
,
佐藤 泰憲
2
Kengo NAGASHIMA
1
,
Shoko UKITA
1
,
Yasunori SATO
2
1慶應義塾大学病院臨床研究推進センター生物統計部門
2慶應義塾大学医学部生物統計学
キーワード:
臨床試験デザイン
,
比較可能性
,
一般化可能性
,
統計学的事項
Keyword:
臨床試験デザイン
,
比較可能性
,
一般化可能性
,
統計学的事項
pp.1165-1171
発行日 2025年6月21日
Published Date 2025/6/21
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293121165
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
臨床試験は,新薬や新治療法の有効性・安全性を科学的に検証するための確立された方法であり,倫理的に許容される範囲内で実施されるヒトを対象とした重要な実験である.ヒトを対象とする以上,試験の実施には以下の厳格な条件が求められる:(1)科学的妥当性と実施可能性を考慮したプロトコルの作成,(2)被験者に対する試験の詳細およびリスク・ベネフィットの明確で十分な説明と同意取得,(3)プロトコルの遵守に基づく試験の厳密な遂行.このように,臨床試験の成功において「プロトコル作成」は核心的な要素である.
プロトコルの作成にあたっては,医学,生物統計学,データマネジメントといった多角的な観点から検討を行う必要がある.そのなかでも,統計的視点からは以下の3つの要点が特に重要である:(1)比較可能性を上げる,(2)一般化可能性を上げる,(3)精度を上げる.本稿では,これら3つの原則を基軸に,臨床試験のデザインに関する要点を概説する.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.