綜説
血友病の現状と今後の治療選択
野上 恵嗣
1
1奈良県立医科大学小児科
キーワード:
血友病
,
インヒビター
,
半減期延長型製剤
,
非凝固因子製剤
,
bispecific抗体
Keyword:
血友病
,
インヒビター
,
半減期延長型製剤
,
非凝固因子製剤
,
bispecific抗体
pp.51-59
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001161
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血友病Aは凝固第Ⅷ因子(FⅧ),血友病Bは第Ⅸ因子(FⅨ)の量的質的異常により生じる遺伝性凝固障害症であり,乳幼児期から関節内や筋肉内などの深部出血を繰り返す.血友病治療の原則は当該因子製剤の定期補充療法であり,血友病性関節症の発症が抑制され,QOL向上に大きく貢献してきた.一方,製剤の頻回経静脈投与やインヒビター発現が血友病医療の重大な課題であった.これらの克服のため,半減期延長型製剤や非凝固因子治療薬が開発された.とくにbispecific抗体は,皮下投与によりインヒビターの有無に関係なく出血予防が可能になった.これらの新規血友病治療製剤の開発により,血友病患者の長年の課題が克服され,QOLのさらなる向上が大いに期待できる.
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