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特集 神経回路の機能発達と障害――基礎研究からヒト病態へ
MeCP2の分子機能からレット症候群の病態理解へ
Elucidating mechanisms for Rett syndrome through the molecular function of MeCP2
石田 綾
1
Aya ITO-ISHIDA
1
1理化学研究所 脳神経科学研究センター 脳発達病態研究チーム
キーワード:
レット症候群
,
MeCP2
,
クロマチン
,
エピゲノム
,
シナプス
Keyword:
レット症候群
,
MeCP2
,
クロマチン
,
エピゲノム
,
シナプス
pp.1212-1215
発行日 2025年6月28日
Published Date 2025/6/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293131212
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レット症候群はMECP2遺伝子の欠失変異を原因とする小児神経疾患であり,主に女児に発症し,1歳半ごろからの退行が特徴である.MeCP2(メチル化CpG結合タンパク質2)は脳発達を制御する分子として広く注目されており,分子から神経回路レベルに至るまで多角的な基礎研究が進められている.最近では,MeCP2の分子機能としてmCHを介した転写制御や,クロマチンの構造制御が明らかになった.さらに,シナプスおよび神経回路の変化としては,MeCP2の欠損が局所的なシナプス異常を引き起こし,領域レベルで興奮と抑制のバランスを崩し,過同期を引き起こすことが示されている.しかし,これらの分子,シナプス,回路レベルの変化がどのように相互に影響し合うのかは,依然として未解明である.今後はトランスクリプトーム,シナプス,ネットワークの変化について互いの因果関係が解明され,病態メカニズムの理解が一層深まることが期待される.

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