特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
1.遺伝子発現
メチル化CpG結合タンパク2 MeCP2(MECP2)
後藤 雄一
1
Yu-ichi Goto
1
1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第二部
pp.372-373
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100431
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メチル化CpG結合タンパク2(MeCP2)は,メチル化されたDNAに結合し,ほかの因子と共同でクロマチン構造を変化させ転写を抑制する機能をもつ。ヒトでは485アミノ酸からなり,メチル化CpG結合ドメイン(MBD)と転写抑制ドメイン(TRD)の二つの機能ドメインをもつ1)。MeCP2をコードしている遺伝子MECP2はX染色体上(Xq28)に存在し,四つのエキソンをもつ2)。MECP2は調べたどの組織でも発現しているが,特に分化途上の神経細胞における発現の高いことが知られている3,4)。最近になり,第2エキソンを欠く転写産物(MECP2B)が同定され,本来の長さのものはMECP2Aと称されるようになった。MECP2Bは中枢神経でも高い発現が認められ,成人脳ではMECP2Aの10倍量も発現していると報告された5)。一方,ES細胞でもMECP2Bの発現が高く,その後分化ともにMECP2Aの比率が上昇することが示されている6)。
ラットやマウスの新生仔を用いた研究で,視床・延髄・基底核でMeCP2陽性細胞が出現するが,生後1,2週で発現量が急速に低下すると報告されており3,7),またヒト脳を用いた研究でも,胎児期には大脳,中脳,橋,延髄,小脳と広く発現が認められるのに対し,大脳では胎児期後期から発現が低下し,脳幹部は乳児期から低下する8)。また,中脳の黒質と縫線核,傍中脳水道灰白質,橋の青班核で乳児期後期から発現がみられなくなるが,10歳頃から再び発現が観察される8)。
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