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特集 データシェアリングと個人情報保護の課題
データベースを通じたデータシェアリングの現状と課題
Current status and challenges of data sharing through databases
川嶋 実苗
1
Minae KAWASHIMA
1
1情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設ライフサイエンス統合データベースセンター
キーワード:
NBDCヒトデータベース
,
ヒトに関するデータ共有基盤
,
ゲノム医療推進法
,
研究倫理指針
,
個人情報の保護に関する法律
Keyword:
NBDCヒトデータベース
,
ヒトに関するデータ共有基盤
,
ゲノム医療推進法
,
研究倫理指針
,
個人情報の保護に関する法律
pp.1062-1066
発行日 2025年6月14日
Published Date 2025/6/14
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293111062
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幅広い医療分野における世界最高水準のゲノム医療を広く国民が享受できるようにしていくため,生命科学・医学系研究分野では機微情報を含む個人レベルのデータを,公的データベースを通じて共有・活用する重要性が高まっている.2013年に運用を開始したNBDCヒトデータベースでは,個人レベルのデータの保護と利活用の両立を実現するための制度設計に努めている.一方で,研究倫理指針や「個人情報の保護に関する法律」の度重なる改正により,ルールの複雑化や運用上の課題も顕在化している.特にデータベースやバイオバンクといった “試料・情報の収集・提供を行う機関” を通じたデータ共有の検討が進んでいない点や,用語の複雑化,データのアクセスレベルに関する合意形成の欠如などが指摘される.今後は研究者,研究対象者,データベース運営者などの関係者間の信頼と共通理解に基づいた連携体制の構築が不可欠であり,国際的な枠組みとの整合も視野に入れた制度整備が求められている.

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