Japanese
English
特集 少子化時代の妊孕性温存療法
社会的(リプロダクティブ)卵子凍結
Social egg freezing
――Planned oocyte cryopreservation
久須美 真紀
1
,
猪鼻 達仁
1,2
,
堤 治
1,2
Maki KUSUMI
1
,
Tatsuji IHANA
1,2
,
Osamu TSUTSUMI
1,2
1山王病院リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター
2国際医療福祉大学大学院生殖補助医療胚培養分野
キーワード:
社会的卵子凍結
,
卵子の老化
,
体外受精
Keyword:
社会的卵子凍結
,
卵子の老化
,
体外受精
pp.304-308
発行日 2025年4月26日
Published Date 2025/4/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293040304
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近年,日本では女性の社会進出や晩婚化に伴い出生数が減少し,不妊治療の需要が増加している.しかし,加齢による卵子の老化が妊娠率低下の主因であるため,妊娠を希望する前の社会的卵子凍結が注目されている.自己卵子による体外受精の成功率は35歳以降に低下し,40代ではさらに減少するため,40歳未満での卵子凍結により自己卵子での妊娠の選択肢を保持することができる.これにより,キャリア形成とライフプランの柔軟性が向上する.先行している海外では,2013年にアメリカ生殖医学会がガイドラインを発表し,多くの国で臨床導入している.しかし,実際の使用率は3.1~9.3%と低く,コスト負担も大きい.日本では東京都が2022年に社会的卵子凍結の助成制度を開始し,日本産科婦人科学会も容認する方向となった.当院では卵巣機能評価や個別の説明を行い,適切な採卵戦略を実施している.社会的卵子凍結は女性の生殖選択肢を広げるが,低い利用率と高コストが課題となるため,社会的支援の拡充とともに,適切な情報提供や慎重な意思決定も必要となる.

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