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特集 少子化時代の妊孕性温存療法
良性疾患に対する妊孕性温存
Fertility preservation for benign diseases
原田 美由紀
1
Miyuki HARADA
1
1東京大学大学院医学系研究科産婦人科学
キーワード:
妊孕性温存
,
自己免疫疾患
,
遺伝的疾患
,
良性卵巣腫瘍
,
子宮内膜症
Keyword:
妊孕性温存
,
自己免疫疾患
,
遺伝的疾患
,
良性卵巣腫瘍
,
子宮内膜症
pp.309-313
発行日 2025年4月26日
Published Date 2025/4/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293040309
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卵巣機能低下をきたしうる良性疾患として,自己免疫疾患,遺伝的疾患,婦人科疾患があげられる.自己免疫疾患は,疾患そのものや自己抗体に起因する自己免疫性卵巣炎が卵巣機能低下と関連する.また,早発卵巣機能不全(POI)症例の約10%は遺伝的疾患に起因し,染色体異常と遺伝子異常に大別される.婦人科疾患としては,成熟囊胞性奇形腫などの良性卵巣腫瘍に対する反復手術,子宮内膜症性卵巣囊胞に対する手術あるいは囊胞そのものが卵巣機能低下と関連する.これらの疾患に対する妊孕性温存は,現時点で公的な保険や助成制度の適応となっていない.妊孕性温存の適応とするのが妥当である疾患や患者集団の同定のためには,現時点での卵巣機能,将来,不妊症となる可能性,妊孕性温存を行った場合に,将来,凍結検体を使用する可能性を勘案し,そこから導かれるコストとベネフィットのバランスについて検討し,議論する必要がある.

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