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特集 知っておきたいVEXAS症候群――早期診断と治療
VEXAS症候群の病態
Pathogenesis of VEXAS syndrome
東谷 佳奈
1
,
桐野 洋平
1
Kana HIGASHITANI
1
,
Yohei KIRINO
1
1横浜市立大学大学院医学研究科幹細胞免疫制御内科学
キーワード:
後天性体細胞変異
,
自己炎症症候群
,
ユビキチン化
,
小胞体ストレス応答(UPR)
,
プログラム細胞死
Keyword:
後天性体細胞変異
,
自己炎症症候群
,
ユビキチン化
,
小胞体ストレス応答(UPR)
,
プログラム細胞死
pp.203-208
発行日 2025年4月19日
Published Date 2025/4/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293030203
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VEXAS症候群は,2020年に米国の研究者により同定された,高齢男性に発症する新しい自己炎症症候群である.発症の要因はX染色体上に存在するUBA1遺伝子の後天性体細胞変異であるが,その後の詳細な病態形成機序については不明な点が多い.UBA1は細胞の生存維持に不可欠なユビキチン化の開始に必要な遺伝子であり,その異常により自然免疫系の異常活性化から自己炎症症状を引き起こすと考えられている.治療では高容量のグルココルチコイドが一定の効果を示すが,高い有効性や忍容性のある薬剤はいまだ確立されていない.2020年に疾患概念が報告されて以降,マルチオミクス解析などによって世界各国でさまざまな研究が進み,遺伝学や分子生物学的な側面から病態が少しずつ明らかになってきた.特に小胞体ストレス応答(UPR)やプログラム細胞死の亢進が病態に関与していることが指摘されており,それらをターゲットにした治療薬が期待されている.本稿では,VEXAS症候群の病態における最新の知見について解説したい.

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