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特集 生物学的相分離と計測技術
O-ClickFCを用いた脂質代謝動態の遺伝子スクリーニング
Genetic screening of lipid metabolism and dynamics by O-ClickFC
土谷 正樹
1
Masaki TSUCHIYA
1
1静岡県立大学薬学部統合生理学分野
キーワード:
クリックケミストリー
,
フローサイトメトリー(FC)
,
CRISPRスクリーニング
,
ホスファチジルコリン(PC)
Keyword:
クリックケミストリー
,
フローサイトメトリー(FC)
,
CRISPRスクリーニング
,
ホスファチジルコリン(PC)
pp.308-315
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292040308
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細胞内で脂質は,複雑なタンパク質ネットワークによって代謝されながら,さまざまなオルガネラへと運ばれ,動的な分子集合体である細胞膜を形作る.脂質はゲノムに直接コードされない代謝物であり,その分析に労力・時間が伴う解析困難な研究標的である.そこで筆者らは,オルガネラ選択的な脂質の蛍光標識法とフローサイトメトリー(FC)を融合したO-ClickFCを開発し,細胞内脂質分布の量・空間情報をハイスループットに計測する新戦略を実現した.この技術をCRISPRスクリーニングへ適用し,ヒト細胞の主要なリン脂質ホスファチジルコリン(PC)の代謝動態に重要な遺伝子を網羅・同定できることを実証した.今回の探索から,既知の脂質関連酵素だけでなく,PC合成に必須なコリン輸送体FLVCR1や,PCの形質膜表出に重要なCDC50Aを発見した.将来的に,本技術を蛍光標識可能な他の生体分子に適用することで,その代謝動態の制御基盤の解明が期待される.
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