今月の主題 脂質代謝関連検査項目についての再検討
各論
脂質代謝関連遺伝子診断:LPL,CETP
村野 武義
1
,
渡邊 仁
1
,
白井 厚治
1
Takeyoshi MURANO
1
,
Hitoshi WATANABE
1
,
Kouji SHIRAI
1
1東邦大学医学部附属佐倉病院臨床検査医学研究室
キーワード:
LPL
,
高中性脂肪血症
,
CETP
,
高HDL血症
,
動脈硬化
Keyword:
LPL
,
高中性脂肪血症
,
CETP
,
高HDL血症
,
動脈硬化
pp.1091-1100
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904507
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リポ蛋白リパーゼ(LPL)は,血中のカイロミクロンや超低比重リボ蛋白(VLDL)の中性脂肪を分解する酵素で,主に脂肪組織で合成される分子量61kDaの糖蛋白である.LPL遺伝子は第8染色体短腕に存在し大きさは約30kbで10個のエクソンから成る.本酵素の機能低下は,高中性脂肪血症をもたらし,特にLPL遺伝子異常では,I型高脂血症(高カイロミクロン血症)を呈する.LPL遺伝子異常は世界で50以上見いだされており,日本人でも10以上報告されている.
コレステロールエステル転送蛋白(CETP)は,高比重リポ蛋白(HDL)中のコレステロールエステルを超低比重リポ蛋白(VLDL)や低比重リポ蛋白(LDL)といったアポB含有リポ蛋白に転送する酵素でありその遺伝的欠損により著明な高HDL血症を呈する.CETP遺伝子異常は日本人症例で主に認められている.
これらの遺伝子異常については,リポ蛋白代謝異常の要因のみならず,動脈硬化への関与についても示唆されている.
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