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特集 生物学的相分離と計測技術
核内構造体によるゲノム機能制御
-――近接ラベリング法を用いて
Regulation of genome function by nuclear domains
――Proximity labeling analysis
栗原 美寿々
1
Misuzu KURIHARA
1
1北海道大学大学院薬学研究院
キーワード:
近接ラベリング法
,
核内構造体
,
非コードRNA
Keyword:
近接ラベリング法
,
核内構造体
,
非コードRNA
pp.303-307
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292040303
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生体内では,膜を持たない構造体が細胞内の複雑な環境を区画化することにより,効率的な生体反応を促進すると考えられている.筆者はこれまで,核内の典型的な構造体であるPML bodyに注目し,PML bodyがY染色体特異的な巨大リピート配列であるYS300と相互作用することで,隣接する遺伝子群の転写を制御することを明らかにした.PML bodyによる遺伝子転写の制御にはYS300との相互作用が不可欠であり,このことから,巨大リピート配列が核内構造体の足場として機能する可能性が示唆された.そこで,小型齧歯類特異的な巨大リピート配列である4.5SHクラスターの解析を開始した.現在,4.5SHクラスターで転写される非コードRNAと相互作用する因子について,近接ラベリング法を用いて解析を進めている.本稿ではこれまでの研究内容を紹介するとともに,近接ラベリング法を用いたRNA相互作用因子の解析技術についても紹介する.
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