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TOPICS 細菌学・ウイルス学
レトロウイルスによる胎盤形成:レトロウイルスが持つもうひとつの生き残り戦略
Placenta formation by retrovirus:Additional survival strategy of retrovirus
久保 嘉直
1
Yoshinao KUBO
1
1長崎大学熱帯医学研究所
pp.316-318
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292040316
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内在性レトロウイルス
レトロウイルス増殖サイクルにおいて,逆転写されたウイルスDNAは宿主染色体DNAに挿入される.そのため,レトロウイルスが感染した受精卵から発生した個体は,生まれながらに自身の染色体DNAにレトロウイルス配列を持つ.そのようなレトロウイルス配列は内在性レトロウイルスとよばれる.長い進化の過程でこのような現象が何度も起こり,ヒトゲノムの約9%が内在性レトロウイルス配列となっている.変異の蓄積により,現在,感染性のあるヒト内在性レトロウイルスは存在しない.内在性レトロウイルスは,ヒトあるいはヒトの先祖にかつて流行していたレトロウイルスの化石である.
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