今月の主題 腎不全の病態と治療
代謝面からみた病態
脂質代謝
和田 光夫
1
1山口大第2内科
pp.467-469
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206501
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
血清脂質およびリポ蛋白質代謝の概要
血清脂質の基本成分である脂肪酸は,アセチルCoAとマロニルCoAの反復縮合反応によって生成される.コレステロールの基本骨格,ステリン核はアセチルCoAからヒドロキシメチル・グルタリル(HMG)CoA,メバロン酸,スクワレンなどを経て形成され,その生合成は,血中低比重リポ蛋白質(LDL,電気泳動法のβリポ蛋白質)がHMG CoA reductaseを抑制する機序によって調節される.コレステロールのエステル化は,高比重リポ蛋白質(HDL)を反応の場としてレシチン・コレステロール・アシルトランスフェラーゼ(LCAT)によって行われる.血清トリグリセリド(TG)は,脂肪酸と解糖に由来するα-グリセロ燐酸とのエステル形成反応によって,肝において生成される.合成あるいはとり込みによって肝細胞に入った脂質は,肝内合成された蛋白質(アポ蛋白質)とともに,リポ蛋白質として組み立てられ,Golgi装置に集積されたのちに血流中に分泌される.すべての脂質はリポ蛋白質として血液中に存在し,その形で代謝される.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.