Japanese
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第1土曜特集 生殖医学――基礎研究と実地診療の進歩
着床と子宮内膜のエピジェネティクス
The roles of endometrial epigenetic regulation in embryo implantation
福井 大和
1
,
廣田 泰
1
Yamato FUKUI
1
,
Yasushi HIROTA
1
1東京大学医学部産婦人科学教室
キーワード:
着床
,
子宮内膜
,
エピジェネティクス
,
ヒストン修飾
,
EZH2
Keyword:
着床
,
子宮内膜
,
エピジェネティクス
,
ヒストン修飾
,
EZH2
pp.969-974
発行日 2024年12月7日
Published Date 2024/12/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291100969
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晩婚化・少子化が進むわが国において,生殖補助医療(ART)の重要性が非常に高まっているなか,胚移植を繰り返しても妊娠に至らない着床不全が問題となっている.着床不全の原因として,子宮側の要因はいまだ明らかになっていないことが多い.本稿では,着床期子宮内膜のエピジェネティクス,特にヒストン修飾の一種であるヒストンH3の27番目のリジン残基のトリメチル化(H3K27me3)と,その主要分子であるEZH2(enhancer of zeste homolog 2)と着床の関係性について解説する.子宮のEZH2がヒト,マウスいずれの着床にも重要であること,特に子宮内膜間質細胞の脱落膜化に関与していることが示されており,そのメカニズムとしてTGF-βを介した創傷治癒反応の制御,細胞周期と分化の制御などがあげられる.また,間質細胞だけではなく,子宮内膜管腔上皮(LE)のトランスクリプトームリモデリングにも関わっていることが明らかとなった.今後もエピジェネティクスの観点から着床のメカニズムが解明され,不妊治療のブレイクスルーが生まれることを期待する.
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