特集 着床を考える
慢性子宮内膜炎と着床障害
北宅 弘太郎
1
1リプロダクションクリニック大阪
キーワード:
子宮鏡法
,
子宮内膜炎
,
着床
,
ミクロフローラ
,
着床障害
Keyword:
Hysteroscopy
,
Embryo Implantation
,
Endometritis
,
Microbiota
pp.1263-1267
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00525.2021034590
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慢性子宮内膜炎(CE)は子宮内膜間質への形質細胞の浸潤を特徴とする臨床症状に乏しい局所性炎症性疾患である。CEの主因は内膜への微生物感染であり、抗菌化学療法でCEの病理組織学的治癒が可能である。CEの診断には内膜生検標本の形質細胞マーカー・CD138に対する免疫組織化学を併用した病理組織診断が最も有用であるが、子宮鏡診断についても精度の管理・向上が目指されている。網羅的細菌叢解析による起炎菌の同定と診断への応用も試みられはじめているが、研究の進展とともにむしろ混迷している感がある。CEと不妊症・不育症との間には関連性が強く示唆されるが、両者の因果関係が証明されるまでには至っていない。CE治癒後には不妊・不育症患者の妊娠予後が改善することが期待されており、無作為比較試験による今後の評価が必要である。
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