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第1土曜特集 生殖医学――基礎研究と実地診療の進歩
遺伝子改変マウスを通してみる精子・受精
Fertilization:findings from genetically modified mice
伊川 正人
1
Masahito IKAWA
1
1大阪大学微生物病研究所
キーワード:
精子成熟
,
受精能獲得
,
先体反応
,
ゲノム編集
Keyword:
精子成熟
,
受精能獲得
,
先体反応
,
ゲノム編集
pp.879-886
発行日 2024年12月7日
Published Date 2024/12/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291100879
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哺乳類の場合,精巣で作られた精子は完全ではなく,精巣上体を通過する間に運動したり受精できたりするようになる.また,射出された直後の精子は受精に適しておらず,雌性生殖路内あるいは適切な培地中で一定時間を過ごす必要がある.この間に,精子は受精能獲得(キャパシテーション)といわれる生理的変化を経て,超活性化といわれる鞭毛運動の変化を起こし,さらに先体反応とよばれる精子頭部先端の分泌小胞の開口分泌を経て,はじめて卵と融合できるようになる.ヒトやマウスでは,1,200を超えるタンパク質をコードする遺伝子が精巣特異的に発現しており,それらの遺伝子産物が精子形成のみならず,精子の運動や受精能力,さらには受精後の発生にも重要な機能を担っている.本稿では,主にノックアウト(KO)マウスを用いた研究により明らかにされてきた,精子形成の後半から精子成熟,さらに精子機能・受精のメカニズムを解説する.
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