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第1土曜特集 生殖医学――基礎研究と実地診療の進歩
卵子の染色体数異常のメカニズム
Mechanisms of egg aneuploidy
北島 智也
1
Tomoya KITAJIMA
1
1理化学研究所生命機能科学研究センター染色体分配研究チーム
キーワード:
卵子
,
染色体
,
紡錘体
Keyword:
卵子
,
染色体
,
紡錘体
pp.887-892
発行日 2024年12月7日
Published Date 2024/12/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291100887
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卵子の染色体数異常は,卵母細胞の減数分裂における染色体分配エラーによって引き起こされる.卵母細胞の染色体分配エラーのメカニズムは,卵母細胞が有する特徴と結びついている.まず,中心体を持たないという特徴が,紡錘体の二極性に不安定性を与えている.また,巨大な細胞質サイズが紡錘体の極の機能性と,紡錘体チェックポイントの厳密性を制限している.さらに,減数分裂特異的な染色体構造のため,染色体と紡錘体微小管の接続を修正する機構の1つが働きにくい.これらに加え,卵母細胞は減数分裂の分裂期に進行する前に,特徴的な長期の細胞周期停止を経験する.この停止中には,加齢に伴ってコヒーシンなど染色体分配に必須の因子が徐々に失われる.さらに,老化した卵母細胞では染色体の早期分離が起こり,染色体分配エラーの主要な原因となる.マウス卵母細胞をモデルにした研究から,染色体分配エラーを抑える戦略が見出されはじめている.
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