胆膵疾患診療の最前線 難治疾患のよりよいマネジメントのために
遺伝子改変マウスによる膵発癌モデル
伊地知 秀明
1
1東京大学 消化器内科
キーワード:
遺伝子発現
,
癌抑制遺伝子
,
疾患モデル(動物)
,
膵臓腫瘍
,
トランスジェニックマウス
,
ノックアウトマウス
,
多段階発癌
,
Transforming Growth Factor-Beta Type II Receptor
,
Kras2 Protein
Keyword:
Disease Models, Animal
,
Mice, Transgenic
,
Pancreatic Neoplasms
,
Genes, Tumor Suppressor
,
Gene Expression
,
Mice, Knockout
,
Transforming Growth Factor-beta Type II Receptor
,
Kras2 Protein, Mouse
pp.490-495
発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011130059
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・ヒト膵癌にみられる遺伝子異常やシグナル伝達系の異常をマウスの膵臓に導入(膵臓特異的遺伝子改変)することにより、通常型膵癌をよく近似する膵発癌モデルが得られるようになった。・恒常活性型Krasが生理的なレベルで膵臓に発現すると、前癌病変であるPanIN(pancreatic intraepithelial neoplasia)が生じる。・恒常活性型Krasの発現にp16、p53、TGF-βシグナルなどの腫瘍抑制シグナルの不活性化が加わると著明な間質の増生・線維化を伴う管状腺癌を呈する。・これら遺伝子改変マウス膵発癌モデルは、とくに生体内における腫瘍の微小環境が保たれている点で、従来のxenograftモデルに比べ、臨床の膵癌像に非常に近いモデルといえる。・臨床像に近い遺伝子改変マウス膵発癌モデルを用いることで、膵癌の病態理解、新たな診断・治療法の確立、膵癌の起源細胞の解明等において実臨床に有用な知見が得られることを期待する。
©Nankodo Co., Ltd., 2011