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第1土曜特集 腸内フローラの研究進展と臨床応用
基礎研究の進展
口腸臓器連関から紐解く炎症性腸疾患
-――口腔細菌の腸管定着戦略
Deciphering the gut colonization mechanisms of oral pathobionts
北本 祥
1
,
鎌田 信彦
1,2,3
Sho KITAMOTO
1
,
Nobuhiko KAMADA
1,2,3
1大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫微生物学教室
2ミシガン大学医学部消化器内科学
3同病理学
キーワード:
臓器連関
,
炎症性腸疾患(IBD)
,
歯周炎
,
口腔細菌
,
異所粘膜定着戦略
Keyword:
臓器連関
,
炎症性腸疾患(IBD)
,
歯周炎
,
口腔細菌
,
異所粘膜定着戦略
pp.308-314
発行日 2024年11月2日
Published Date 2024/11/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291050308
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これまで相関関係でしか語られてこなかった口腸臓器連関において,近年,腸炎惹起性の口腔由来の細菌と免疫細胞が介在する複雑な因果関係が存在することが明らかとなった.これは,従来の炎症性腸疾患(IBD)の診断や治療法開発の標的とされていた一部の腸炎惹起性の腸内細菌や細胞の起源が口腔にあることを示しており,今後のIBDの臨床介入法開発の標的が “腸管だけでなく腸管外臓器,および腸管へ至る経路にまで拡大する” ことを意味している.このような背景のなか,筆者らはごく最近,口腸臓器連関の鍵となる腸炎惹起性口腔細菌が,ある特殊な新規接着分子を含む炎症腸管定着遺伝子座LIGを有することを見出し,腸管外も標的にした腸疾患治療法開発の足がかりを得た.本稿では,最新の研究を交え,IBDにおける口腸臓器連関の研究動向と臨床応用への可能性を概説する.
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