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特集 がん微小環境の統合的解明と治療への応用
臓器連関から紐解く腫瘍進展機構の解析
Analysis of tumor progression mechanisms through inter-organ crosstalk
近森 正智
1
,
高橋 和樹
1,2
,
松永 行子
1
Masatomo CHIKAMORI
1
,
Kazuki TAKAHASHI
1,2
,
Yukiko T. MATSUNAGA
1
1東京大学生産技術研究所
2東京医科歯科大学大学院医歯薬総合研究科
キーワード:
腫瘍進展
,
臓器連関
,
organ-on-a-chip(OOC)
,
生体模倣システム
Keyword:
腫瘍進展
,
臓器連関
,
organ-on-a-chip(OOC)
,
生体模倣システム
pp.195-200
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28903195
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腫瘍はがん細胞だけでなく,内皮細胞(血管内皮細胞,リンパ管内皮細胞),線維芽細胞,細胞外マトリックス(ECM),免疫細胞,血小板,神経などの間質細胞により,がん微小環境を構成している.がん細胞はこれらの細胞をがん微小環境にリクルートし,増殖・活性化させる一方で,周囲の間質細胞はがん細胞の増殖や遊走能,薬剤耐性能を亢進させることで,腫瘍の増殖,転移といった腫瘍進展を促進しており,腫瘍進展において臓器連関は重要な役割を持っている.しかし,がんとの臓器連関を探求するうえで,従来の平面培養などの単純な細胞実験系ではがん微小環境を再現できないため,成果は主に動物実験に依存してきた.ところが動物実験には生物学的ネットワークの複雑性,種差や倫理的な課題が残されており,細胞実験,動物実験とは異なる新たな実験系が求められてきた.本稿では細胞集団の三次元構造,複数種の細胞の共培養,生体に近い物理的・化学的刺激を与えることができる培養プラットフォームとしてのorgan-on-a-chip(OOC)を用いた研究が,いかに腫瘍と他臓器のクロストークを介した腫瘍進展機構の研究に利用されているかについて紹介する.
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