特集 腎臓と他臓器連関を考える―CKDにおける包括的治療戦略を目指して
Overview
臓器連関の基盤
宮下 和季
1
,
竜崎 正毅
1
,
押田 卓磨
1
,
伊藤 裕
1
1慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科
キーワード:
内分泌・代謝系
,
非感染性疾患
,
臓器連関
,
メタボリックシンドローム
,
代謝産物
Keyword:
内分泌・代謝系
,
非感染性疾患
,
臓器連関
,
メタボリックシンドローム
,
代謝産物
pp.167-173
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_167
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Summary
▪さまざまな外部環境の変化に応じた生体の恒常性維持に臓器連関が関与し,臓器連関の制御因子として内分泌・代謝系が重要な役割を果たす.
▪肥満に伴う脂肪組織の慢性炎症と,炎症細胞浸潤に伴うアディポカインの変容は,メタボリックシンドロームにおける全身臓器障害の原因となる.
▪高脂肪食に伴う腸管マクロファージの集積は,腸管バリア機能の破綻を介して脂肪組織の慢性炎症を誘発し,全身におけるインスリン抵抗性を惹起する.
▪糖尿病性腎臓病に伴う尿細管Sirt1の発現低下は,尿細管から糸球体へのNMN送達低下を介して糸球体NAD+の低下と糸球体バリア機能の破綻を誘発し,蛋白尿の原因となる.
▪母体の腸内細菌叢で産生される短鎖脂肪酸は,胎盤を介して児に移行して,児の神経系・内分泌系の発達と,児の肥満発症に影響を及ぼす.
© Nankodo Co., Ltd., 2020