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第1土曜特集 性差医学の現在地――最新知識とエビデンス
呼吸器疾患に関わる性差
Sex differences in respiratory diseases
山口 泰弘
1
Yasuhiro YAMAGUCHI
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター呼吸器内科
キーワード:
免疫
,
睡眠時無呼吸
,
咳反射
,
気道過敏性
,
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
Keyword:
免疫
,
睡眠時無呼吸
,
咳反射
,
気道過敏性
,
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
pp.863-867
発行日 2024年9月7日
Published Date 2024/9/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290100863
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免疫に関わる複数の遺伝子がX染色体上に存在し,免疫応答は女性に強い傾向がある.これは,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化の性差や肺炎の重症化リスクの性差にも影響している.ただし,肺非結核性抗酸菌症の結節・気管支拡張型は女性に多い.上気道の解剖学的な性差やプロゲステロンによる換気の刺激によって,閉経前の女性では睡眠時無呼吸が少ない.また,女性で咳反射が亢進していて,慢性咳嗽は女性に多い傾向にある.気道過敏性も女性のほうが亢進していて,成人の喘息患者数は女性のほうが多い.肺の画像解析からは,男性で気腔の拡大傾向がみられ,女性で気管支内腔が狭い傾向がみられる.このことは,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の特徴に影響している可能性があり,喫煙が気流閉塞をきたすリスクは女性のほうが高い.また,中等度の気流閉塞では,女性のほうが男性より健康関連QOLが悪いとの報告もある.
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