Japanese
English
特集 呼吸リハビリテーションの新しい展開
誤嚥性肺炎
Aspiration pneumonia
岡崎 達馬
1
,
出江 紳一
1,2
Tatsuma Okazaki
1
,
Shinichi Izumi
1,2
1東北大学大学院医学系研究科肢体不自由学分野
2東北大学大学院医工学研究科リハビリテーション医工学分野
1Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Tohoku University Graduate School of Medicine
2Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Tohoku University Graduate School of Biomedical Engineering
キーワード:
誤嚥性肺炎
,
咳反射
,
嚥下反射
,
リハビリテーション
,
サルコペニア
Keyword:
誤嚥性肺炎
,
咳反射
,
嚥下反射
,
リハビリテーション
,
サルコペニア
pp.1053-1057
発行日 2021年11月10日
Published Date 2021/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202356
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誤嚥性肺炎とは
超高齢社会に突入した日本では肺炎による死亡者数が増加傾向で,2016年まで日本の死因の第3位だった.2017年から肺炎の病名区分が肺炎と誤嚥性肺炎に分割されたため,肺炎のみの死亡者数は減少した.ただし両者を合計すると2019年度までは継続して日本の死因の第3位であり,同年度の死亡者数は13万5903名にのぼった.2020年度は両者合計で12万1191名に減少し,本邦の死因の第4位となった.これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染対策が全国的に徹底され,肺炎のきっかけとなっていた感冒やインフルエンザ感染が減少したため,とも推測されるが本稿執筆時点(2021年6月)では詳細は不明である.ちなみに2020年度は全死亡者数も減少している.
入院肺炎症例中の誤嚥性肺炎の割合は70歳台で70%程度,80歳台では85%程度,90歳台では90%超と報告されている.現在肺炎治療の中心は起炎菌に対する適正な抗菌薬投与であり,起炎菌は居住する施設により異なる,という概念のもと肺炎は市中肺炎,院内肺炎,医療・介護関連肺炎などに分類される.誤嚥性肺炎は嚥下障害により口腔内容物を気道内に誤嚥し,咳反射の低下により誤嚥内容物を喀出できないため,その量が許容限界を超えた時に発症する.このため誤嚥性肺炎症例は一般的に繰り返し発症して加療を反復し,慢性炎症状態となり最終的に死に至る例が多い.そこで抗菌薬と絶食による肺炎への一般的な治療に加えて,嚥下や咳の機能改善などによる再発予防が重要になってくる1).
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