特集 咀嚼と嚥下と誤嚥性肺炎
咀嚼,嚥下,誤嚥性肺炎に関わる基礎知識
嚥下機能―誤嚥を防ぐメカニズム
杉山 庸一郎
1
Yoichiro Sugiyama
1
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
キーワード:
嚥下機能
,
誤嚥
,
気道防御反射
,
呼吸
,
咳反射
Keyword:
嚥下機能
,
誤嚥
,
気道防御反射
,
呼吸
,
咳反射
pp.485-489
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000122
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はじめに
嚥下はいわゆる反射性運動とは異なり多くの嚥下関連筋の連続的な筋収縮および弛緩により生成される複雑な運動である。特に咽頭期,食道期については随意的な介入が困難なステージであり,ほとんどの嚥下関連筋は食塊の性質に関わらずパターン化された運動を一定の出力で駆動するシステムで制御されている1)。誤嚥を防ぐためにはこのシステムが食塊の口腔→咽頭→食道への移動と連動してタイミングよく起こることが必要であり,咽頭期嚥下生成メカニズムにはその機能も内包する。一方,喉頭侵入による誤嚥のリスクに即座に対応し誤嚥を防ぐ,あるいは誤嚥に対して適切に下気道から異物を排出する機構も重要であり,そのためには咳生成メカニズムの理解も必要である。また,呼吸運動から嚥下運動へのスムーズな移行,嚥下運動から呼吸運動へのphase resettingは誤嚥のリスクを低下させるための重要な機構であり,その理解には嚥下生成メカニズムと呼吸生成メカニズムの関係を理解することが必要となる。
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