特集 長引く咳
[対象別の咳]
高齢者の咳
福島 健泰
1
,
佐々木 英忠
2
1医療法人桜ヶ丘クリニック
2東北大学大学院老年・呼吸器病態学
キーワード:
咳反射
,
高齢者の咳
,
肺癌
,
誤嚥性肺炎
Keyword:
咳反射
,
高齢者の咳
,
肺癌
,
誤嚥性肺炎
pp.1042-1044
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100757
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Case
咳反射の低下による誤嚥性肺炎
患 者:80歳,男性.
既往歴:75歳時に多発性脳梗塞.
家族歴:特記事項なし.
現病歴:脳梗塞を繰り返し,徐々にADLが低下し歩行不可能となり,ベッド上での生活となっている.食事はかろうじて自分で食べることができるが,食後に痰のからみが多くなってきた.微熱が続き,食事量が低下し,全体に元気・活力がなくなってきた.咳反射(J1),嚥下反射(J2)が低下していることが判明し,胸部X線写真および胸部CTでは両側肺の背部に浸潤影を認め,誤嚥性肺炎と診断された.
咳は,気道に侵入してきた異物や貯留した分泌物を咳反射によって外部へ排出する防御反応である.咳は本人の意思とは関係なく無意識に行われるので,咳が出て初めて,気道に異変が生じていることが自覚される.すなわち,咳は気道に病変が生じたことの警告(アラーム)である.咳は多くのことをわれわれに教えてくれる1).重要なメッセージを見逃すことのないように,患者さんからの情報を分析して,診断・治療につなげていきたいものである.
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